女性起業家コンテストがご縁で出会った
本の著者でおあるビジネスマンの方が
ある有名俳優とお友達になり、よく食事に行くという。

「えっ！？本当ですか。私も行きたい(笑）」
「いいよ。今度温井も誘うよ」
「いいんですか？ぜひお願いします！」

こんな会話を交わした数日後
本当にその俳優の方とのお食事会が設定された。
ゴールデンウィーク前、人数は8人の食事会だという。

私は密かに、この食事会にかけていた。
ミーハー的に会いたいと思ったのよりも
私の会社は実績がないから、絶対にこの方の
ホームページを受注して実績を作りたい。そんな気持ちの方が大きかった。

あまりテレビを見ない私は、改めて
お会いできることになった有名俳優の方の
プロフィールからインタビュー記事まで
時間をかけて調べた。

知りたかったのは、この方が
「何を目指し、何をしたい人なのか？」

インタビュー記事をいくつも読んで行く中で
色々目指されている中に
「ハリウッドに進出したい」という
ビジョンを持たれていることもわかった。

早速、ホームページがきっかけで
芸能人なりモデルなりがハリウッドに
行けたケースはないか調べる。

すると、、あった(笑）

その内容は、オスカーというモデル業界の最高峰が
Webに数百名のモデルのプロフィールを掲載し
条件検索もできるようにしたという。

例えば「英語を話せる身長170cm以上」など
条件を入れると、それを満たしたモデルの
プロフィールだけが結果として出てくる。

今までは、営業マンが数百名のプロフィールと
顔写真、全身写真を持ち歩き、ページをめくりつつ
商談していたが、探すのに時間がかかり効率が悪かった。

それがWebに掲載したところ、全く無名のモデルに
ハリウッドから指名が入ったという。

「これだ！」

この話をネタに、俳優の方はホームページを
持つべきだと言ってみよう。

よし、ネタは決まったので、あとは席順。
私は事前にその俳優と話ができる距離に
座らせてくれと幹事の方に頼んだ。
準備は完璧。

しかし、天然の私は、そんな重要な日にやらかす。
電車を乗り間違えて、なんとありえない遅刻。
私の席はその俳優から一番遠い、角の末席だった。

幹事のビジネスマンが席を立ってきて
「温井、遅いじゃないか。来た順だから早く来いって言ったのに」
「すみません。話せそうにないですかね？」
「二次会の時に席が隣になるようにするから」
「本当にすいません。ありがとうございます」

そして、いよいよ２次会へ移動。
予定通り、その俳優の方と席が隣にしてもらえた。

私はタイミングを見て、無名のオスカーモデルが
ハリウッドから指名が入ったという話を俳優にした。

すると、その話が出た途端に、
俳優の方は完全に体ごと私の方に向いて、
たくさんの質問をしてこられた。

二次会は、ほぼその方と私で話が弾み
「いやー、今日はいい人と出会えた」
とまで言ってくださった。
ひととおり質問に答えたあと、私は言った。

「もしホームページをお持ちになりたければ、
ゴールデンウィーク前にご連絡をいただければ、
私の会社で無料でお作りしますよ」

と言い、名刺を渡した。
有名俳優の方は、名刺はない。

「ゴールデンウィーク過ぎたら、対応できないので
ご興味あればその前までに」と念をおして、
ニッコリしながら、私は帰った。

翌日、電話を待ったがその俳優からは
電話はなかった。
作戦はダメだったかと思った翌日、

「先日は、ありがとう。
あの件、無料で作ってくれるって本当？」

と、ご本人から電話がかかってきた。

「はい、本当です」
「でもなんでGW前までなの？」
「GW後は、他の仕事で忙しくなるので」
（本当は、仕事なくて全くの暇人だったが）

「そういうことか。じゃぁ、早急にお願いしたいんだけど」

（やったー！）

そして、その有名俳優は、
私のちっちゃなオフィスにやってきた。
母は「頭はいいし、好青年だよね」と言って
この方のファンだった。
母の驚く顔を想像すると、笑みがこぼれてしまう。

そんな流れで、素敵なサイトを作れる人が必要だが
実は、私の会社にWebデザイナーはいなかった。

なので、Webの掲示板でデザイナーを探す。
一人、実績が申し分のない女性がいた。
その女性に、正直に無料で受けた案件なので、
無料で制作することは可能かと聞いてみた。

すると、この有名俳優のだったら
無料でも、ぜひ作りたいですとの返事。

こうして、私は有名俳優の仕事を無料で受注。
外注先も無料で、費用負担することなく
貴重な実績を作らせていただくことができた。

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