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温井和佳奈

起業前4話:新人女子の「3時間お茶くみ」と「正座させられる」証券マン

ある日、私はお茶当番で朝6時過ぎに出社すると、証券マンたちが開店前のシャッターの降りている店頭で正座していたり、観葉植物の隣に立っていたりして、異様な光景だった。一体、何をしてるのだろうと思っていた。

後から聞いたことによると、ノルマ達成ができず、成績の悪い者は正座、少しマシな者は立たされているという。 証券レディは立たされないが、新人にはお茶当番がある。

毎日、朝皆さんが飲むお茶を入れねばならない。まず40人だか50人だか分のマイカップを覚えなければならない。例えば支店長はブラック、課長はミルクと砂糖1杯、代理はミルクなしで砂糖2杯、などなど。

とてもじゃないけど覚えられないので、全員のマグカップの絵と砂糖とミルクの分量の表が手書きで作成されて、それを見ながらお茶を準備する。そして「おはようございます」と言いながら、コーヒーをおいていく。

最初のうちは、その「絵」を見ながらやっても、時間に追われるとミルクも砂糖入りも、誰が誰だかわからなくなって、間違いだらけのお茶とコーヒーを配布したり、朝から眉にしわを寄せながら、挨拶も忘れて真剣にコーヒーをおくことだけに集中してしまい「挨拶しろ」と注意されたり。

同期の新人は可愛い人が多く、彼女たちが笑顔でお茶を出すと、証券マンたちは正座させれていたことも忘れて、嬉しそうな顔をしていたから、組織の良い潤滑油だったのかもしれない。

その後は、全員のマグカップを回収して、すべてのマグカップを洗い、水気をふいて所定の場所に置く。 また上司のお客様がいらしたら、そこでもお茶、呼ばれたらお茶。

私たち「新人類」のお茶当番は、最初の頃は合計3時間以上かかっていて、遅いとよく注意された。そんな時、私はシャッターが開くまでの間だけ、正座させられている方がよっぼどいいと思っていた。

家では理不尽な昭和一桁生まれの父がいて、職場にも理不尽なルールがあり、私の想いは、自由な国、お茶汲みのない国、アメリカへと、日に日に強くなっていった。しっかりお金を貯めよう、と改めて決意をかたくした。

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