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温井和佳奈

起業前5話:「有給を取れない」会社の掟、「新人類」女子がとった行動は、、

念願の証券会社に入社した後は忙しかった。自分だけ落ちることのないように、詰め込みで証券外務員の国家資格を取り、みんなとなんとか歩調を合わせることができた。私が元ビリギャルだったことは、職場の皆さんは知らない。

瞬く間に初夏の季節になり、待ちに待った夏休み。今年から(土)(日)を合わせて9連休が取れるという。カレンダーが張り出されて、私は一番に9連休を申請して超格安の旅行に申し込んだ。同期女子6人のうち4人が9連休の申請を早々と完了させていた。

すると先輩に呼ばれ、「新人さんは有給は3日しか取れないと思ってください」いまでこそこんな発言は問題となるかもしれないが、昭和はこれが「常識」であり「会社の掟」だった。さらに、本来なら先輩がどのタイミングで休むかを見定めてから、差し支えないところで、新人は休みを取らなければいけない。

しかし、、私の超格安で申し込んだ旅行はキャンセルできないものだった。だから考えた。せめて会社に損がないようにしよう。私が商いをした中国ファンドや投資信託の「会社が受け取る手数料は、私の給料の3倍以上」になっていることを確認して、予定通り旅行に行った。

驚いたことに、当時の私の頭の中には、会社の掟に従って自分の予定を変更するという選択肢がなかった。歴代の先輩方は会社の掟に従い数年働いてきて、ある年「新人類」たちが入社、いきなり自分たちより先に、それも何のお伺いもなく新人達が休みを9連休もとったらどんな気持ちになるだろう。今考えると、恐ろしい。。

更に大きなスケールで恐ろしいことが起こった。

一人の同期の女性が、なぜか同期全員分の名前で「アメリカ横断ウルトラクイズ」に申し込んでいた。当時、このクイズ番組は視聴率30%-40%のオバケ番組で「知力、体力、時の運」を合言葉に、広大なアメリカ大陸を横断しながらクイズに挑戦し、ゴールのNYを目指すというもの。通常のクイズ番組にはない「人間ドキュメンタリー」を映し出すことで、他のクイズ番組とは違う存在感があった。

私たち同期6人女子は、「知力」が欠けていたが「体力・時の運」のみで後楽園予選に行った。2万人も集まっている参加者達に圧倒される。2万人中、勝ち残った100人だけが成田空港に行ける。そして成田空港でジャンケンをして勝つと、グアム行きの飛行機に乗ることができるというもの。

なんと、ここで私だけが、成田空港のジャンケン行きとなった。そして飛行機の中の機内テストも、マークシートだったので勘が当たってしまいパス、グアムへ到着する。月曜の朝、私はグアムから会社に電話をした。直属の上司が不在で課長代理が出た。

「あのー、朝から突然なのですが、アメリカ横断ウルトラクイズってご存知でしょうか?」

「あー、もちろん知ってるよ。それがどうしたの?」

「・・・実はですね、私、その番組の予選で残ってしまい、今、グアムなんです」

「えーっ!!」と代理が大きな声を出した。

「あの番組ってさ、勝ち残ったらNYまで行くんだよね!?」

「はい。でも私は頭悪いからすぐに落ちて帰国しますんで」

「いやぁ、面白いなぁ。でも課長は怒るね。まぁなんとか僕からうまく言っておくよ。わかった。でも毎日電話するんだよ」

電話を切った後、9連休をとってから2ヶ月も経ってないことを後悔するが、もう遅い。普段は理解のある母からも「もうあなたは学生じゃないのよ。今すぐ帰りなさい」と叱られ、これはまずいことになったと思った。

そして、ビリギャルの私に奇跡が起こる。帰らなければと思いつつも、そのままクイズに「体力と時の運」だけで勝ち進んでしまい、1ヶ月近くも会社を休んでしまうことになった。

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● わかな語録:「会社の掟、破る時は、利益をだす」

◆ 続きはこちら:起業前6話:人生初の無断欠勤の理由が、まさかの○○○とは

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起業前1話:バブル時代、ある目的のために給料で「銀座証券レディ」の道を選ぶ

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