今年前半は本当に辛いことが続いた。苦しい時に経営者の先輩から「その時の気持ちをノートに書いておくと良いよ」と言われ、そのノートを見直してみる。
最初のページは
「会計士の先生とZOOM MTG、数字見てスーッと決断できた。悲しすぎるけど、もう無理なんだとわかった。あれだけ絶好調だったのに、思いもよらない現実」
から始まった。この10年間、私のすべての情熱を注いだカンボジアでのライフワークが終わるんだ。
その後も、「胸の奥がツーン、ツーンと痛い」
「10年、情熱をかけた。もうない」
「仏門に入りたい」
「現地スタッフからお店を綺麗に掃除したととメッセージがきて涙が出た」
カンボジアの店舗とお菓子ファクトリー撤退を決意して諦めているのに
「お店とストーリー、両方ある」
と矛盾した願いを書いていた。(ちなみにストーリーとは私がカンボジアの大河ドラマ的なストーリーを5年かけて書いたので、そのストーリーを世に出して経済波及効果で多くの人が豊かになれるといいなと思っているもう一つの夢)
「お店とストーリー、両方必要」
現地で頑張っているカンボジア人スタッフのためにも、継続する道はないか、無償でも良いから引き受けてくれる人はいないか、探すけど見つからず。
「お店とストーリー」
「私がマネジメントしないけどお店は残る」
「必ず現実になる」「無心で待つ」
その後もこんなキーワードが何回も出てくる。
そんな時、母が倒れて救急車で運ばれ、緊急手術をするも介護が必要な状態に。
やはり事業は撤退するべきだ。母の介護をしていこうと決める。
でも最愛の母は、その数日後に旅立っていった。
母の旅立った日、仕事仲間の方からの紹介で、出会ったばかりの事業プロフェッショナルからメールがきた。
「お土産まで頂きありがとうございます。カシューナッツ大変美味しかったです。きっと他も温井さんの想いがぎっしりと詰まった良い物ばかりなんでしょうね。
せっかく一生懸命ここまで築き上げてきた事業とブランドを何とか手放さずに持ち堪えて、ラストチャンスと思ってもっともっと磨き上げていく方向へ賭けてみませんか?
それだけの想いとポテンシャルがあると強く感じましたのでコロナ禍後を見据えしっかり進めれるよう3人の力を結集すれば、何とかなると思いますよ。
本当に心身ともに大変な時期だとは存じますが、これ以下はないんだと思って前向きにいきましょう」
彼からのこのメールを読んだ時、私は母からのこんなメッセージが聴こえた。
「介護はいいから、あなたが目指した道を生きなさい」
そして、新たな事業パートナー二人が加わった。そこからは信じられないことの連続で、彼らは日本からカンボジアの状況を遠隔で把握し、1年以上続いた決して小さな額ではない毎月の赤字が1ヶ月でピタリと止まり、半年後の今月は利益が出るまでになった。
追い詰められて四方八方塞がれた状態で撤退を決意し、あれだけ喪失感を味わったライフワークが今もあることが、とても不思議で生かされているなと思いつつ感謝で2021年を終わりたい。
本当に私に関わってくださったすべての方々に、心からの感謝を込めて。
良いお年をお迎えください✨