この秘策が、自分が経営者になった時にとても役に立った。このおかげで1年半でボストン大学の卒業証書を手にすることができた。
授業に全くついていけなかった私は、自分一人の勉強で卒業するのは無理だと最初に悟った。私はかなり頑張って英語を勉強したが、なぜか英語だけは全く上達しなかった。
「1年半で卒業プロジェクト」と名付けた。目標を達成しようとすると、自分の英語力ではどうにもならないので、秘策は「スタディグループを主宰する」か「カンニング」しかなかった。リスクが高すぎるので後者は消去。
プロジェクトは人選が命。私は誰を誘うか考えた。当然、英語が母国語で馬力のある秀才アメリカ人、七転び八起きの秀才イラン人、いるだけで面白いそこそこの頭の良さのブラジル人、私の通訳として頭のいい日本人という構成がベストだと考えたが、日本人生徒がクラスにおらず、通訳は諦めた。
私は人に声をかけるのはとても苦手だったが、止むを得ず、証券会社時代のドブ板営業を思い出して、思い切って声をかける。
すると全員OK。意外と簡単だった(笑)
スタディグループ初日。時間通りにきた人はゼロ。30分遅れでアメリカ人とイラン人がきた。勉強会が終わってみんなが帰った後、3時間遅れでブラジル人がきた。ダメだこりゃ。
スタディグループ二日目前日。私は前日に全員に電話をかけた。
「明日の3時に我が家に集合ね。前回みたいに遅れないでね」
というと、全員YES。
「あなたの好きなドーナッツ教えて。フレンチクルーラね。では淹れたての美味しいコーヒーとフレンチクルーラを準備して待ってるから。オンタイムでね」
前日の電話とドーナッツ作戦は実に効果的だった。
翌日、全員が時間ピッタリに集まった。
人選も最高だった。秀才くんたちだけだと息が詰まるが、ブラジル人が問題に正解するたびに立ち上がって、お尻フリフリダンスをしてくれたりと、笑いが絶えない。
試験範囲は広く60章あった。各章の要約を分担して作り、それをみんなでシェアすることになった。
1〜3章は私。ブラジル人は4〜10章。イラン人11〜30章。アメリカ人31〜60章という分担でやろうと、私は無謀な提案をした。
するとアメリカ人秀才がそれはフェアじゃない騒いだので、英語力と頭の良さを考えたら絶対にフェアだと頑張ってみたら、他2名は私に賛成して役割分担が決まった。
こうして私は3章分をまとめるだけで、60章分の要約をもらった。
私は要約だけだと不安だったので、試験前に
「自分がもし教授だったらどんな問題を作るか?」
を、想定して自分たちで問題集を作ったりした。
ビリギャルの私でもみんなに貢献できることは、
ドーナッツ作戦で全員が出席する状態を作ること。
過去問を集めること。
アメリカでは過去問を集める人がいないらしく、かなり喜ばれた。
いよいよ試験当日、私は思わず微笑んでしまった。
みんなが作った想定問題&過去問と同じ問題が8割以上。私は1教科につき読むべき本が15冊もあるクラスで、ほぼ本を読まずにAを取った。
他メンバーも、もちろんA、みんなで祝杯をあげた。
なんて、自慢にならないか(笑)
●わかな語録:人の力を借りる時こそ、主導権は自分におく