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温井和佳奈

起業前22話:英語ができなさすぎて、落ち込んだ末に私がやったことは?

あぁ勘違い!と言って最初のうちは笑ってられた。しかし、それがあまりにも続いたらどうだろうか?さすがに落ち込むわけで。。極めつけは、先生が授業中に私の単語帳を取り上げて、ペラペラとページをめくり、「register, grow, what’s up・・・・Oh my God! Too easy!!」(登録する、成長する、最近どう?・・・オーマイゴッド!簡単すぎるわ!!)と驚きの声をあげるではないか。

そんな純粋な驚きが、意外と人を傷つけるものだと、わかっていない人が多い。なんだかそこから、私は何もかも嫌になった。

そして二月、もうすぐ私の誕生日がくる。そのことを誰も知らない。今年の誕生日は寂しい日になりそうだ。日本では積極的で社交的だった私。バブル時代の日本のデートコースはフレンチのフルコースを食べにいき、デザートにはお花とプレゼントが出てくる、、というのが定番だった。

しかしここでは、そんな華やかな生活とは程遠い。外食といえば、毎日、語学スクールの下にあるハンバーガー屋さんで食べる。だいたいハンバーガー屋に入る前に日本人女子は、食後のおやつにポップコーンとかお菓子を買って、ハンバーガーと並べてテーブルにおいておく。

すると食べるのが早いアフリカ系の人たちは、気がつくと私のハンバーガーについてくるフライドポテトを勝手に食べている。更になんの断りなく、私たちのお菓子を勝手に開けて、買った私たちより先に食べる。最初、私たちはビックリしたがアフリカでは、それが普通だと彼女たちは言う。日本では人のものを勝手に開けて食べることをしないのが普通なんだよ、と言いたいが、英語がわからない。

さらにイラン人の男子生徒が「Hey, let’s go to Lunch with me sometimes. Don’t be shy.」(今度僕とランチ行こうよ。ためらわないで)とことあるごとに言ってくる。ためらっているんじゃない、それ以前にアンタに興味がないのよ、と思うのだが、英語がサクッと出ない。おとなしい私にブラジル人が「オーヤマトナデシコ」などと間違ったことを言っている。

誰も本当の私を理解していない、と日々思うようになった。

そんなある日、友人とマクドナルドで待ち合わせをしたが、迷ってしまった。当時はGmapという便利なものはなかったので、道ゆく人にマクドナルドの場所を尋ねた。私の発音が悪すぎて、マクドナルドが通じない。何回も「マクドナルド」とか「マクド」とか、言ってみたが通じず、、、気がつけば、どうしたどうしたと親切なアメリカ人が集まり、人だかりができてしまった。

最後に一人のアメリカ人が「オー、ミックダァナァル!」と叫び、人だかりの全員が大笑いした。後から思えば、楽しい一場面かもしれないが、これもかなり落ち込んだ。更にマクドナルドで止せば良いのに水が飲みたくて「Water」という難関な単語を使った。こちらも5回聞き直されて諦めた。健康のために飲みたくなかったが、発音が簡単なコークを頼んだ。落ち込みが深まっていく。

そして、私の誕生日の朝。アメリカでの地味な日常となったいつもの朝を迎え、ごく普通に語学スクールに行き、いつものように英語の授業を受ける。そしていつものように、ランチには、私のポテトをアフリカ人のクラスメートが勝手に食べた。

午後の授業のブレイクタイムも終わり最後の授業を受けにクラスに戻りドアを開けた瞬間、クラッカーがなった。驚く私に向けて次から次へとクラッカーが鳴る。「Happy Birthday dear Wakana ~  」誕生日に歌う歌は世界共通らしい。先生までが授業そっちのけで、ケーキを食べようとしていた。

英語がうまくしゃべれないから、私のことをわかってもらえないと、思っていた自分がはずかしくなった。こうして皆が両手を開いてくれているときに、言葉が話せないことなんて、たいしたことじゃない。大切なのは開かれた両手に飛び込んでいくことなのだ。なんとなく目の前が開けていくような気がした。

よし、落ち込んでいる暇はない。できないのであれば、朝から晩まで英語の勉強に集中しよう。私は「ナポレオンプロジェクト」と名付けて夜2時まで勉強、朝5時に起きて勉強をすることにした。

●わかな語録:開かれたドアに、飛び込んでみよう!

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