ボストン大学卒業生の会から電話がきた。
ニューズウィーク誌が留学のイベントをやるのに
女性で海外の大学を卒業した起業家を
パネラーで探しているという。
「温井さん、パネラーで出てみたら?」
舞台の上で、パネラーか。カッコいい。
それに、ニューズウィーク誌は憧れだから。
しかし、私はあがり症。
それもそれだけじゃない、
本人すら自分が何を言い出すかわからない。
モンタナを「モンタマ」
アンケートを「マンケート」と
言ってしまったあの日の悪夢が、、、。
「いえ、うーん、やめておきます」
数日後、また電話が鳴った。
どうやら起業家の女性枠が埋まらないらしい。
「せっかくだからやってみなよ」
「うーん、あがり症なんですよね」
「え?あがり症なんて、場数だよ、場数」
「場数、、、確かに。場数は踏まないと」
「やるか?そうこなくっちゃ!」
瞬く間に当日が来た。
パネラーは私以外に3人。
みんなMBAだの、社長だの、すごい経歴。
私、一人だけが4年生卒。
パネラーの自己紹介。
一人目の自己紹介。難しい上に長い。
二人目もこれまた難しい、三人目も固い長い。
パネルディスカッションの前にもう会場の人たちは
疲れちゃってるよね。少なくとも私は疲れた。
やっと私の番になり、開口一番言った。
「落ちこぼれの温井和佳奈です」
会場がどっと笑った。
するとMCのニューズウィーク誌の編集長も
「これについては、では落ちこぼれの温井さん」
なと言ってくれて、その度に会場が笑った。
終わった後、編集長に
「温井さんがいてくれて良かったよ。
落ちこぼれの温井には笑ったね
話も良かったよ」
と声をかけていただき、私は思った。
ニューズウィーク日本版の Webを受注したい。
我が身を振り返った。
まだ、今の私ではダメだ。
もう少し実績を積もう。
私は数年後にニューズウィーク誌の発注を受ける。
私の会社に実績に、ニューズウィーク誌を追加する自分。
そんな未来を想像した。
●わかな語録:「自分の実力がつくのを待つ」