2022年はSDG’s年だとか、社会貢献をしたい人が増えてきた。そこで、私が今まででもっとも衝撃を受けた視点を、二つのストーリーから簡潔にシェアしたいと思う。一つめは、
「僕のお父さんは桃太郎というやつに、殺されました」
というコピーの下に、赤鬼の子供が泣いているイラストが入っている。この一枚に全てが集約されているのだけど、はじめての方のためにコレが何かということを簡単に解説。
これは、広告日本新聞協会広告委員会が今年度「しあわせ」をテーマに実施した「新聞広告クリエーティブコンテスト」全国から1,069作品の応募の中から山﨑博司さん(博報堂)が最優秀作に選ばれた。
一方的な「めでたし、めでたし」を生まないために広げよう、あなたの世界。
という言葉も添えられている。
山﨑氏がコレをつくったきっかけは、シリア内戦に対するアメリカの軍事介入だったとか。
「世界にとって“正義”であると世の中は思っていたのかもしれない。しかし、限られた情報の中で、ものごとを一方的に決めつけてしまうことが本当に正しいのか。それを桃太郎の話に重ね合わせて世に問いたかった」
そして、もう二つめは、私の体験からカンボジアで聞いた話。
私はデザインを通じてカンボジア女性が夢をかなえる「ドリーム・ガールズ・デザインコンテスト」を毎年開催しているが、現地のIT企業がスポンサーをしてくれた時のこと。私は、その会社のインド人のCOOに聞いてみた。
「なぜ、たくさんあるプロジェクトの中でウチに協賛してくれたの?」
「ドリーム・ガールズ・プロジェクトは、誰の邪魔もしないからだよ」
??
「こういうことだよ。あるカンボジアの小さな企業が頑張って浄水器を作っていたんだ。ものすごく大変な思いをしながら数年かけてその会社はだいぶ立ち上がってきたんだ。
これでカンボジアに浄水器の会社ができたね、とみんなで喜んでいたところへ、西洋人のNGOがやってきた。
そしてカンボジア人達に浄水器を無償で配布しまくったんだ。で、どうなったと思う?」
「えー、考えたくないな」
「そう、せっかく努力で立ち上がってきたカンボジアの浄水器の小さな会社は潰れてしまったんだ」
これを聞いた時、私はなんと浅はかだったんだろうと反省した。たまたま私が考えたドリーム・ガールズ・プロジェクトはカンボジアの人々や企業の邪魔をしなかっただけ。
現地の人たちの中に、自分たちで立ち上げようとする人たちがいて、自分の存在がその人達の障害となる、なんてこと考えても見なかった。
これから社会貢献したい人は、やり始める前に考えてみほしい。一方的なめでたし、めでたし、になってないか。自分でこれだ!と思ったことは、本当に「自分が」やるべきことなのかを。
そして有名すぎる言葉だけど、、
「魚をあげるのではなく、釣り方を教えよう」